名稲会の米づくり名人、古川勝幸氏の進化する米
おいしいお米が食べたい
漢方未来農法という有機農法をご存知でしょうか。
農薬、化学肥料は一切使わず、代わりに漢方薬の煎じカスや生薬を肥料や害虫防除剤として使う、ちょっと変わった農法です。
漢方薬を使用することで病害虫を退治するのではなく、土壌微生物が増殖し、作物を育てるのに適したバランスの良い土壌を作ります。
また作物そのものの自然治癒力を活性化し、病害虫を寄せつけない防除効果もあります。
漢方の体質改善療法で米作り
全国の篤農家2000名(現在は6000名)以上の方が参加する日本最大規模の「米・食味分析鑑定コンクール」で2003年に福島県郡山市の古川勝幸氏が、初出品で品種栽培部門特別賞を受賞。
翌年2004年には総合部門金賞を受賞。それからは、あれよあれよという間に5年連続で総合部門金賞を受賞という快挙を成し遂げ、2009年にはダイヤモンド褒章、国際名稲会入りを果たして名人の称号を受けました。その時点で名人は全国に6人(その後お一人ご逝去)で、2019年9月現在は7人です。
古川さんは自分自身も農薬アレルギーに苦しんだ経験から、人に害のない漢方薬なら米作りにも害はないのではと考え、「人も植物も同じ」という視点に立ち、人を治療するように植物にも応用してみようと持ち前の探究心で試行錯誤を重ねて、独自の漢方未来農法を確立していきました。
おいしいお米のご紹介
古川さんのお米は米粒の大きさがみごとに、きれいにそろっています。粒がそろっているということは炊きむらがなくなります。小さい米粒の世界ではその微妙な大きさの違いが大きな味の差を生むそうです。それは劇的においしくなります。
また口に含んだときの歯ざわり、舌触りが均一で、粒なのにとろけるようななめらかな食感があります。
食味評価は食味官能試験といって、香り、味、粘り、硬さなどを測ります。漢方米の品種はコシヒカリです。コシヒカリは粘りと弾力があり、つや、香りに優れ、冷めても美味しいのが特徴です。そしてこのお米はその特徴を余すところなくクリアし、ハイレベルな次元で独自のやさしく、しっかりした甘みを持つ“おいしさバランス”を生み出しています。
「無農薬、無化学肥料で環境に負荷を与えない安心、安全なお米作りはクリアしました。これからはどれだけおいしいと喜んでもらえるか。そして身体に良いお米をつくれるかが課題です」と古川さん。
天日干しの復活
この地域は風が強いので“くいがけ”(もうひとつの代表的な方法は“はざがけ”)という方法なのですが、久しく誰もやっていないので記憶を辿りながらの挑戦となりました。
収穫後すぐに刈り取った稲を一定の太さの束にして、根元を結わえて2メートルくらいの高さになるまで交互に重ね置きしていきます。
そして天気をうかがいながら1週間から10日おきに2回ほど稲束のかけ替えをして、最初は稲穂を、次にワラの順番で全体を乾燥させます。手間を惜しまず、丁寧に丁寧にお世話する。それがあって極上のお米に仕上がるのです。
天日干しは雨、朝夕の露、そして乾いた風と太陽の光を浴びながらゆっくりと乾かしていきます。その間に稲の葉や茎ワラに貯まっている栄養分がモミに移り、味が良くなるといわれています。
刈り取りの終わった田んぼに“くいがけ”の広がる光景は懐かしいものですが、手伝ってみるとかなり大変な作業でした。そして「お米は最後の一粒まできれいに食べなさい。食べ残したら罰(ばち)が当たるよ」と、母親の声が聞こえてきます。いまさらながらうなずき、納得しました。
古川さんのお米はわが家の常食米です。仕事柄、たまに「おいしいお米教えて?」と聞かれることがあります。そんな時は責任もって、まずこのお米を紹介します。すると届いた頃に早々と電話が鳴り、決まり文句のように「ナニコレワ?メチャメチャウマイ!おいしい!」という答えが帰ってきます。
今のところ百発百中です。
騙されたと思って一度食べてみてください。一発必中です。
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