● 有機JAS制度

認証と認定

一般に事業者が有機基準に従って生産活動をしていることのお墨付きをあたえるのは認証(Certification) で、その認証機関の業務が適切であることのお墨付きをすることを認定(Accreditation)という。しかし、有機JAS 制度においては、前者(Certification)に認定の用語を使用している。従って有機JAS 制度では、認定機関が生産者などの事業者を認定する。

JAS 法

正式名称は「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」という。農林水産省(表示は消費者庁)が管轄。食品や木材などの農林物資にJAS マークを貼ることを定めたJAS 規格制度や、食品の品質に関する表示について定めた品質表示基準制度が制定され、この中に有機JAS 制度が含まれている。なお、JAS とは日本農林規格の英訳JapaneseAgricultural Standard の頭文字をとった略称であるが、現在では制度全体を現す言葉として使われ、個々の物資についての日本農林規格は、JAS 規格と呼ばれる。

登録認定機関[とうろくにんていきかん]

JAS 法に基づく認定を行うために農林水産省に登録された機関。有機JAS の登録認定機関は、国内に約60 機関、外国に約20 機関ある(2012 年3 月)。有機JAS マークの表示をする生産者、加工業者、小分け業者、輸入業者は、登録認定機関に認定を申請し、認定を受けた事業者だけが有機JAS マークを貼付することができる。

生産行程管理者[せいさんこうていかんりしゃ]

有機JAS 制度の場合、有機JAS規格に従って有機農産物や有機畜産物、有機加工食品を生産し、有機JAS マークの貼付をすることが認定された事業者のこと。

小分け業者[こわけぎょうしゃ]

有機JAS 制度の場合、受け入れた有機JAS マークのついた原料を、別の容器、包装に入れなおして、その容器、包装に有機JAS マークを貼りなおすことが認定された事業者。

輸入業者

有機JAS 制度の場合、有機JASと同等の有機認証制度をもつ外国のオーガニック認証品を、日本に輸入した際に有機JAS マークに貼りかえることが認定された事業者。但し、マークを貼れる対象商品は有機農産物と有機農産物加工食品に限られる。

格付[かくづけ]

いろいろな業界、いろいろな場面により使用される言葉だが、有機JAS 制度においては、事業者が生産した商品を、有機JAS 規格に従って生産されたものであると判定すること。格付の結果、有機生産した商品であると判断したものは格付合格品の証として、有機JAS マークを貼る。そのほか食品業界では、肉の等級検査などにもこの言葉を使う。


● 世界のオーガニック認証

CODEX[コーデックス]

WHO(世界保健機関)とFAO(食糧農業機構)が合同で設立した食品の国際ルールを決める機関。オーガニックの基準もこの機関で国際ルールが定められており、WHO 加盟国はこれをもとにそれぞれの国のオーガニック基準を作成する必要がある。

EU 規格[イーユーきかく]

EU で定めたオーガニックの基準。EU のオーガニック認証は、まずEU 共通のオーガニック認証基準が定められており、これを最低基準として各国でそれぞれの国の認証基準が定められている。日本のようなEU 域外の国の有機食品をEU に輸出する場合には、EU の共通基準に基づいて認証されれば、どの国へも輸出することが可能である。

USDA[ユーエスディーエー ]

アメリカ農務省のこと。日本の農林水産省にあたる。United StatesDepartment of Agriculture の頭文字。アメリカの国のオーガニック認証マークをUSDA マークと呼ぶ。

NOP[エヌオーピー]

アメリカ合衆国のオーガニックの認証制度、認証基準のこと。National Organic Program の頭文字。日本の有機JAS 認定制度にあたるもの。

AB マーク

フランスにおけるオーガニック拡大のために設立されたオーガニックマーク。国の認証マークではなく、マークの管理機関が設立されており、そこに申請することにより使用の許可がおりる。


● 関係するその他の法律・制度

有機農業推進法

有機農業を推進することを目的に2006 年(平成18 年)に制定された法律。議員立法ですべての政党が全会一致で可決されたという経緯がある。有機農業の推進に関する国の義務、自治体の義務などが定められている。

農薬取締法

農薬の安全のために、規制、登録する法律。定義上、栽培時に殺菌、殺虫などの防除を目的とするものは、すべて農薬とみなされる。登録された農薬には、適用作物、使用回数、希釈倍率などが定められ、使用者(生産者はもちろん、家庭菜園であっても)は、これを守らなければならない。

食品衛生法

人の健康を守るために定められた食品に関する法律。厚生労働省(表示は消費者庁)が管轄。食品の安全に関する表示、食品添加物の指定、残留農薬基準、容器・包装、製造・加工する事業者の衛生管理など幅広い規制が定められている。

景品表示法[けいひんひょうじほう]

正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」、景表法とも略す。その名のとおり不当な景品(例:販売する商品にくらべ極端に豪華な景品を出す等)、不当な表示(例:実態と異なり商品が優れている表示をする等)を取り締まるもので、公正取引員会が管轄。食品の表示の場合は、主に優良誤認(例えば原産地を偽るなど、製品を実際よりも優れているように偽って表示すること)が問題になる。

公正競争規約[こうせいきょうそうきやく]

景品表示法の下で定められた業界の表示ルール。乳製品や味噌、塩など製品ごとに業界団体が表示のルールを策定し、公正取引委員会に届け出る。この表示ルールを満たした製品には、「公正」マークを表示する。

フェアトレード

開発途上国の貧困な農家が社会的に自立できるように、購入者がある一定のプレミアムをつけて購入する取引。民間の認証制度・認証マークもある。コーヒー、カカオ、バナナ、コットンなどが代表。フェアトレード生産者の中には、有機栽培をしている生産者が多く、オーガニックとフェアトレードのダブル認証をとって輸出する生産者も多い。

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